「みんなで世界一研究所」という場

大阪・グランフロント大阪北館に位置するThe Lab.(正式名称:The Lab.みんなで世界一研究所)は、企業・大学・研究機関が先端技術のプロトタイプを持ち込み、一般来場者のリアルな反応をダイレクトに受け取ることができる”実証実験の場”だ。

The Lab.のコンセプトは「みんなのチカラで未来を作る、世界一の感動が生まれる場所」。ブースを出展する参画者は来場者と共に実験し、共に新しい価値を発見する。

The Lab.では、コミュニケーターが来場者と対話し、展示への関心や気づきを引き出すことを大切にしている。temiはその役割を代替するものではなく、来場者が足を止めコミュニケーターとの会話を始めるきっかけとなり、人と展示、人と技術をつなぐ存在として活用されている。

iPresenceがナレッジキャピタルと歩みを共にするのは、temiが初めてではない。以前から遠隔操作ロボット「kubi」や「Double」でも実証を重ね、来場者との新しい接点づくりを共に模索してきた。
そして今回、マップを活用した自律移動、シーケンスによる案内、追従機能など、より多様な機能を備えたtemiを用いることで、これまでの取り組みをさらに発展させる形で、新たな実証を進めている。

「触媒」としてのコミュニケーター

The Lab.には「コミュニケーター」と呼ばれる専門スタッフが常駐する。彼らの役割は展示の説明員ではない。人とコト・情報をつなぎ、来場者の間に化学反応を起こす「触媒」だ。

訪れた人たちに声をかけ、出会いや体験をさらに発展させ、一般生活者の声を参画者へフィードバックする—そのループを回すことが、コミュニケーターの仕事である。そのコミュニケーターチームに、新たな仲間が加わった。temiである。

temiは何をしているのか ― 3つの役割

① 追従機能

コミュニケーターや来場者の後ろをついていく。「人がついていっているみたい。かわいい」と気づいた瞬間が、会話の入口になる。

② 黒湖たからによる展示案内

共創キャラクターが展示ブースを紹介。定型説明はtemiが担い、コミュニケーターはより深い対話へ発展させる。

③ 地点移動

各ブースへの移動をワンタッチ操作で実現。月ごとの展示入れ替えにも対応。

「ラクにするのではなく、質を上げている」

中西さん(ナレッジキャピタル) : 「temiの役割として”説明員の省人化”を目指しているわけではない。人が介在してこそ気づきがある。—来場された方とのコミュニケーションの第一歩になり、そこからお近づきになれるきっかけを担ってほしい」

中西さん(ナレッジキャピタル) : 「コミュニケーターが来場された方とコミュニケーションを取るための”第一歩”になってくれているという部分が大きい」

この施設が描く三層モデルは明快だ。

temiが「代替ではなく品質向上」である理由は、ここにある。

バーチャルアバター黒湖たからによる案内

temiの画面を彩る「黒湖たから」は、大阪府・大阪市・ナレッジキャピタルの共創プロジェクトから生まれ、大阪電気通信大学との協働で3Dアバター化されたオリジナル・バーチャルキャラクターだ。

共創から生まれたキャラクターが、共創パートナーのロボットによって実際に動き・語っている。The Lab.の床の上で、共創はリアルタイムで進行中だ。

来場者の反応はコミュニケーターを通じてフィードバックされる。

「どう使えばtemiの良さが引き出せるか」を現場で探り続けるこのプロセスこそが、The Lab.が掲げる”知の循環”そのものだ。iPresenceとナレッジキャピタルの共創は、展示ブースを超え、The Lab.というラボ全体を舞台に動いている。

次の章へ ― 職人とtemiが生む、新しい体験

The Lab.は今、新たな実験を始めている。町工場の職人や伝統産業の作り手が施設に来て、来場者と直接話し、その場でものを買える—「物販×体験」の場づくりだ。職人が直接語り、来場者がその話を聞いてから購入できるという、作り手と使い手が出会う新しい商業のかたち。

temiがあれば、職人さんが来られない日に遠隔から接続したり、現地で話したストーリーをtemiを介して再生することも可能だ。

中西さん(ナレッジキャピタル) : 「DXやAIが進む中で、逆に人間らしさや作り手の実態が見える”原点回帰”のような試みにおいて、temiを一緒に使うことでもっと新しい体験が作れるのではないか。人を省くということではなく、相棒になれる関係をtemiとの間に見つけていきたい」

テクノロジーと手仕事が同じ床の上に並ぶとき、temiはその橋渡し役になる。「何を作っているか」だけでなく「誰が、どんな思いで作ったか」を届ける存在として。

だから、来てほしい

temiが入口を温めるから、The Lab.は「説明書きを黙って読む場所」ではない。ロボットに声をかけ、キャラクターに案内され、職人の声を聞き、気づけばコミュニケーターと話し込んでいる——そんな体験が、3階 The Lab.のどこかで今日も生まれている。

人を省くのではなく、人との出会いを増やす。その実験は、The Lab.で続いている。