東京都立多摩桜の丘学園では、アバターロボット「kubi」を活用し、病院内の分教室で学ぶ生徒3名が本校のフラダンスワークショップに参加。ESDの学びから生まれた取り組みと、初めて操作する先生への工夫をご紹介します。

東京都立多摩桜の丘学園では、アバターロボット「kubi」を活用し、病院内の分教室で学ぶ生徒3名が本校のフラダンスワークショップに参加。ESDの学びから生まれた取り組みと、初めて操作する先生への工夫をご紹介します。

「アバターが動くことで画面が変化し、普段と違う体験をすることができた」
「分教室の友達の存在をより一層意識することができた」
——東京都立多摩桜の丘学園が、今回の取り組みの効果として挙げた2点です。

施設内の教室やベッドサイドで学習しており、多くの友達と関わり合いながら活動する機会が少ない。そうした状況にある分教室の生徒が、本校で開かれるフラダンスワークショップに、アバターロボットを操作して参加する。東京都立多摩桜の丘学園では、本校と分教室をアバターでつないだ交流を実施しました。

本記事では、ESDの学びから生まれたワークショップへの遠隔参加の様子を、当日の流れと現場の工夫からご紹介します。
※本記事は、旧モデル「kubi」を使用した導入事例です。

1. 導入の背景──分教室が抱える「多くの友達と関わる機会が少ない」という課題

本校は東京都多摩地域南部、多摩市に位置する特別支援学校です。肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を設置しており、それぞれ小学部、中学部、高等部を有しています。また、療育センターに入所している生徒を対象に、分教室を設置しています。

今回の利用者は、分教室で学んでいる生徒3名。施設内の教室やベッドサイドで学習しており、多くの友達と関わり合いながら活動する機会が少ない状況にあります。

本校は学校全体でESD、持続可能な開発のための教育に取り組んでいます。その一環で、肢体不自由教育部門では、ハワイの観光を題材に、自然環境や海洋資源を守るための取り組みについて学びました。ハワイの文化について探究的に学ぶために、地域のフラダンス教室の皆様をお招きして、ワークショップを開いていただいたのが今回のフラダンスワークショップです。

分教室の生徒がオンラインで参加することは決まっていました。しかし、テレビ会議システムでつなぐだけではなく、アバターを使ってさらに楽しくワクワクする交流にしたい。アバターを使える人を増やしたい。そうした理由から、kubiを使うことを提案しました。

2. 使用した機器とアプリ

今回は、肢体不自由教育部門中学部と分教室の生徒がアバターを使って交流した事例です。本校のイベント会場に設置したkubiを、分教室から先生と一緒に操作し、フラダンスワークショップに参加しました。

項目

内容

目的

分教室から本校のフラダンスワークショップに参加する
利用者 病院(入所施設)内分教室 生徒3名
アバターロボット kubi 各1台
ソフト Avatar for Zoom(iPresence社)、Telepotalk
操作端末 操作用のiPad 1台

kubiは、載せたタブレット端末の向きを遠隔から左右に変えられる首振り型のアバターロボットです。今回はこの操作を左右に動かすことに絞って活用しました。

アバターロボットの仕組みについては、「テレプレゼンスアバターロボットとは?取扱い製品と事例をご紹介」もあわせてご覧ください。

3. 当日の様子──分教室から、先生と一緒にkubiを操作

フラダンスワークショップ:本校の会場に設置したkubiを、分教室から操作
本校のイベント会場にkubiを設置し、分教室の生徒が先生と一緒に操作して参加しました。当日は音声トラブルなどもありましたが、分教室の生徒が先生と一緒にkubiを操作して参加することができました。

お礼の挨拶:kubiならではのおじぎで感謝を伝える

お礼の挨拶をしている場面では、この時だけ、ちょっとのチャレンジとして、kubiならではのおじぎの動きを活用し、感謝の気持ちを伝える場面を設けました。

4. 導入効果──「アバターが動く」ことで、双方に生まれた変化

分教室の生徒にとっては、自分の操作するアバターが動くことで画面が変化します。普段と違う体験をすることができました。本校の生徒にとってはアバターがあることで、分教室の友達の存在をより一層意識することができました。

5. 実施にあたって工夫したこと

活用の工夫においては、これまでアバターを操作したことがない分教室の先生たちが「やってみよう」と思えるようにすることでした。そのため、活動中は画面をつないで左右に操作するだけのシンプルな動きを想定しました。

また、アバターをゲストの近くに設置し、ゲストとの関わりをより近くで意識できるようにしました。

6. まとめ──病院の中の分教室から、たくさんの友達と一緒に

アバターを活用することで、より楽しくワクワクした気持ちで、病院の中の分教室から、本校のたくさんの友達と一緒にイベントに参加することができます。活動をシンプルにすることで、初めてアバターを使う先生も思い切ってチャレンジできます。

こんなこともできるかも、こんな工夫ができるかもと、みんなで知恵を出し合って、人との関わりを広げていけるようにしたい——東京都立多摩桜の丘学園からのメッセージです。

事例をご紹介いただきました、東京都立多摩桜の丘学園の皆さま、ありがとうございました。

取材先
東京都立多摩桜の丘学園

東京都多摩市に所在する都立の特別支援学校です。肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併せ持ち、それぞれに小学部・中学部・高等部が設置されています。あわせて、療育センターに入所している児童生徒を対象とした分教室を設置しています。

所在地:〒206-0022 東京都多摩市聖ヶ丘1-17-1

公式サイト:https://tama-sh.metro.ed.jp/site/zen/

モデル事例企画・開発
一般財団法人ニューメディア開発協会

一般財団法人ニューメディア開発協会(NMDA)は、2020年度より、入院中の子どもたちがアバターを活用して学校生活(授業や交流)に参加する支援事業に取り組んでいます。同協会が2022年度JKA補助事業により運営する「アバター学校生活参加支援コミュニティ」では、全国の学校におけるアバター・テレプレゼンスロボットの利用事例が公開されています。

アバター学校生活参加支援コミュニティ:https://avatar-tele-edu.com/

一般財団法人ニューメディア開発協会:https://www.nmda.or.jp/

東京都立多摩桜の丘学園様の事例URL:詳細はこちら

本記事で使用したアバターロボット

kubi (iPresence株式会社)

タブレット端末を載せて、遠隔から上下左右に首を振れるアバターロボットです。操作する側が「自分の意思で見たい方向を見る」ことができるため、一方向の映像配信とは異なる参加体験を実現します。
2026年10月発売の「kubi 2.0」では、本事例で活用されたテレプレゼンス機能に加え、AIエージェント機能などを搭載しています。詳しくはkubi 2.0製品ページをご覧ください。

kubi 2.0 製品ページはこちら

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