高校教育改革|ネクストハイスクール構想を推進する「temi」の遠隔授業と教育格差是正の具体策
「離島の高校だから、専門的な物理の授業を諦めなければならない」 「教員不足の影響で、生徒が望む選択科目を新設する余裕がない」
今、日本のあちこちで響いているのは、教育現場の切実な悲鳴です。しかし、子どもたちの好奇心や未来の可能性が、居住地や自治体の予算規模という「壁」によって遮られて良いはずがありません。
現在、日本の高校教育は大きな転換点を迎えています。その中核を担うのが、次世代の学習環境を再定義する「ネクスト(N-E.X.T.)ハイスクール構想」です。
iPresenceが提案するのは、単なるオンライン会議システムの導入ではありません。自律走行型テレプレゼンスロボット「temi(テミ)」を活用し、学校の物理的な壁を取り払い、世界中を学びの場へと変える「次世代教育インフラ」の構築です。本記事では、教員不足や教育格差という難題を、テクノロジーでいかに「希望」へ変えていくのか、その具体的な方策を探ります。
① 遠隔授業(遠隔配信センターの講師が利用)
「画面の向こう」から「教室の隣」へ。先生の分身が走る
少子化や地域的な教員不足により、高校では特定の専門科目を受け持つ教員を確保できないケースが深刻化しています。またこれまでのオンライン授業は、画面越しに「見るだけ」になりがちで、先生は生徒の手元が見えず、生徒は一方的な配信に集中力を欠いてしまう——。この「心の距離」こそが、遠隔教育が抱える最大の壁でした。
テレプレゼンスロボット「temi」は、この壁を物理的に打ち破ります。
遠隔配信センターの講師が、教室に設置されたtemiに接続し、遠隔操作して授業を行う学習プログラム。遠隔配信センターの講師がtemiを自在に動かして教室に「降り立つ」ことで、あたかもその場に先生がいるかのような双方向の授業が可能になります。

【導入による主なメリット】
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教員リソースの最適化: 1人の専門講師が複数校に対して高品質な授業を同時に、あるいは交代で提供できる体制を構築できます。
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机間指導の再現: ロボットを遠隔操作して生徒のデスクに近づき、ノートを覗き込んだり、個別に声をかけたりといった「対面に近い指導」が行えます。
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教育格差の是正: 離島や中山間地域の学校でも、都市部と同じ専門科目や選択科目の履修が可能になり、生徒の学習機会を均等化します。
【事例紹介】大分県:遠隔配信センターと連携した次世代授業の実証
大分県では、遠隔配信センターに所属する講師が、物理的に離れた高校の教室に配置されたtemiを遠隔操作する実証実験が行われました。
「配信センター方式」の遠隔授業では、配信センター専任の教員が、配信センターから受信校へ授業をライブ(リアルタイム)で配信します。 受信校が2校で1つのペアとなり、2校の生徒が同時に授業に参加する2校合同授業の形式で行われます。 大型モニター上に教員がほぼ等身大に表示されますので、対面に近い臨場感のある授業で、生徒は集中して生き生きと学習に取り組むことができます。 また、机間指導支援アバター(temi V3)によって、教員が生徒の取り組みの様子を観察したり、生徒が教員に質問したりするなど、生徒一人ひとりの学習の進捗状況や様子を把握することができます。
② 遠隔出前授業(外部講師がURL接続で実施)
教室のドアを開けたら、そこは最先端の研究室
「本物に触れる体験」は、生徒の進路選択に劇的な影響を与えます。しかし、多忙な大学教授や企業の第一線で働くエンジニアを、遠方の学校へ招くのは、時間的にも予算的にも至難の業でした。
外部講師が教室にあるパソコンから遠隔接続し、教室に設置されたtemiを操作して授業を行う学習プログラム。temiを活用すれば、世界中の専門家がブラウザからURLをクリックするだけで、教室に「実在する講師」として降り立つことができます。

【導入による主なメリット】
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講師の負担を最小化: 移動時間をゼロにすることで、多忙な専門家でも1コマ単位で授業への参加が可能になります。
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双方向性の高い対話: 講師はロボットの目を通じて教室内を見渡し、質問した生徒の近くまで移動して対話できます。
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社会とつながる学び: 産学官連携によるキャリア教育やアントレプレナーシップ教育を、日常的なカリキュラムとして組み込めます。
【事例紹介】高校授業に、大学教授が遠隔参加
大分県立佐伯鶴城高等学校にて実施された生徒の研究発表会。東京大学の教授が高校に配置したテレロボットtemiに遠隔参加しました。生徒から発表を聞いた後に、直接生徒へコメントとアドバイスを送りました。生徒たちは良い緊張感と学びの深掘りを得ました。

④ 大学生による遠隔学習サポート参加
教員の働き方改革と「個別最適な学び」の幸福な合流
GIGAスクール構想第2期が掲げる「個別最適な学び」。その重要性が増す一方で、現場の先生が一人でクラス全員の学習進度をきめ細かくフォローするには限界があります。この課題を解決するために、未来の教員である大学生が「temi」を通じて授業に参画する新しい仕組みを提案します。
これは、教育大学などの学生が授業の一環として、大学の研究室や自宅から高校の教室に設置されたtemiへ遠隔接続し、学習サポート員(メンター)として参加するプログラムです。大学生はパソコンやタブレットからtemiを操作し、教員の補助役として機能します。

【導入による主なメリット】
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指導体制の手厚い構築: 演習中に大学生がtemiで各班を巡回し、質問対応やファシリテーションを行うことで、生徒一人ひとりへの目配りが可能になります。
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「学・高連携」の制度化: 大学生は移動なしで教育現場の実践経験を積め、高校側は質の高いサポート人員を確保できるWin-Winのモデルです。
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「実在感」のある個別指導: temiは教室内を自在に移動できるため、つまずいている生徒の机の近くまで行き、表情を見ながら個別に説明・励ましを送ることができます。
教育の未来を担う学生たちへの特別講義
2025年、京都女子大学の発達教育学部において、弊社代表クリストファーズによる特別講義を実施いたしました。この講義では、未来の教育現場を担う学生たちが、テレプレゼンスロボットが教育現場にどのような変革をもたらすか、その可能性について深く学びました。

- 遠隔メンターとしての可能性: 教育学部の学生が大学にいながら遠隔地の高校をサポートする仕組みは、学生にとっての実践的な学びの場となり、現場の教員にとっては強力な補助戦力となります。
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ICTリテラシーの醸成: 早期から「デジタルとアナログが融合した教育」のビジョンに触れることで、次世代の教員がテクノロジーを「道具」として使いこなす土壌を育みます。
このような大学連携を制度化することで、地域を越えた新しい教育支援モデルの構築が可能になります。
⑤ ロボットプログラミング教材としての活用
ロボットを「創る」体験が、未来のエンジニアを育てる
これからの時代、「技術に使われる」のではなく「技術を使いこなす」人材が求められています。temiは、最先端の自律走行機能を備えた、最強のプログラミング教材でもあります。
教室に設置されたtemiを操作する、ロボットプログラミングを行う学習プログラム。実際のロボットを動かしながら、学習することができます。

【導入による主なメリット】
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実践的なSTEAM教育: AI、センサー技術、地図生成(SLAM)など、現代社会で活用されている技術を実機で学べます。
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課題解決能力の育成: 「校内案内」や「防災パトロール」など、学校の課題を解決するプログラムを設計・実装する体験を提供します。
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情報Ⅰ・Ⅱへの対応: 画面の中だけで終わらない、実際にロボットが社会の役に立つ感動が、プログラミング学習の動機付けを最大化します。
5. N-E.X.T.ハイスクール構想と基金の活用
次世代の教育環境整備を、確かな財源で加速させる
こうした最先端の教育DXを推進する強力な後押しとなるのが、「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」に基づき設置された基金(次世代高校教育環境整備基金)の活用です。
この基金は、ICTを活用した通信環境の飛躍的な高度化や、各校の強みを活かした特色ある教育課程の編成を支援するものです。テレプレゼンスロボット「temi」の導入は、本基金が目指す「創造性を育む柔軟な学び」を具現化する最適なソリューションとなります。
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遠隔授業の高度化と教員不足対策 遠隔配信・受信環境をアップグレードし、専門科目の教員不足を補う「校域間連携」のインフラとして機能します。
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地域・大学と連携した対話型学習の実現 物理的な距離を克服し、外部専門家や大学生メンターと教室をリアルタイムにつなぐことで、学びの質を深化させます。
iPresenceは、単なる機材の提供に留まりません。本基金が目指す「持続可能で質の高い高校教育」を具体化するためのパートナーとして、予算申請に向けた技術協力から事業計画の策定、導入後の運用までをトータルでサポートいたします。
結びに:教育委員会と共に創る「未来の標準」
iPresenceが提供したいのは、単なるロボットという「モノ」ではありません。「場所の制約」を解き放ち、すべての生徒に等しく、多様で質の高い学習機会を提供するための「次世代教育インフラ」です。
教員不足や地域格差という課題を、テクノロジーの力で「可能性」へと変えていく。 N-E.X.T.ハイスクール構想が描く「創造性を育む柔軟な学び」の実現に向けて、私たちは技術と情熱、そして豊富な導入実績をもって伴走いたします。
未来の教室に、新しい「当たり前」を。 貴地域の教育の未来を、私たちと共にデザインしませんか。






