テレプレゼンスアバターロボット(通称テレロボ) 「temi」は、自動運転によるナビゲーション機能がついているため、案内ロボットとして導入を検討されている企業が増えてきています。今回は実際に自社の工場見学ツアーガイドとして、テレロボ temi を採用している、大阪府和泉市にある全星薬品工業株式会社(以下 : 全星薬品工業)の和泉工場で、工場見学の模様を取材させていただきました。

「 temiの導入評価は10段階中…10どころではなく、100を超えてますね」と語る、全星薬品工業の生産本部 前田部長と古賀参事にお話を伺い、案内ロボットとしてのtemiの運用方法、社内の人件費削減・企業PRの効果など、最先端のテレロボ活用事例をご紹介します。

 

「導入評価は10段階中…10どころではなく、100を超えてますね」

全星薬品工業株式会社 生産本部 の前田部長(左)と古賀参事

「もう最初ね思ってた以上の100を超えてます。現場の負担軽減が予想以上でした。我々自身が現場に行かなくてもよくなったなと。案内されたことの話聞くと、(temiが)お客様の印象にすごく残ってると言っています。」(前田部長)

 

「分かりやすいtemiの画面と操作性 」が導入の決め手

全星薬品工業は、創業70周年を超える医療用医薬品メーカーで、ジェネリック医薬品を中心に開発・製造受託が事業の柱です。2016年6月より稼働した和泉工場は、最新鋭の無人で稼働する設備を積極的に導入する等、日本のジェネリック医薬品製造開発をリードしています。

自動化設備を積極的に導入する和泉工場では、新たな試みとして テレロボ temi を工場見学のツアーガイドとして採用しました。2,3年ほど前から工場でのロボット案内の導入を検討していたところ、temiと出会い、temiの機能と使いやすい画面が導入の決め手となりました。

トップ画面に登録されたルートボタンを押すだけで、temiによる工場案内が開始される

 

ツアー開始ボタンを押した後temiは自走を開始し、工場案内が始まります。登録地点で立ち止まり、見学窓から工場内部をご覧くださいと声を出して誘導するなど、音声・文字・動画再生をしながら工場案内をします。人間同様に、工場における製造工程を1つ1つ詳しく、リズム良く説明してくれます。

製造工程がお休みの日でも、動画を見れば工程を理解できる

 

新入社員研修・職場見学会・顧客・監査の案内 など、幅広く活用中

現在は、社内の研修で主に使う機会が多いtemiによる工場見学ですが、採用活動の時期には学生向けの職場見学会で使用したり、顧客の方の工場見学にも使用しています。

新入社員研修向けの案内を開始するtemi。ころころ変わる表情も親しみやすさに一役買っている

 

工場案内に temi が導入されて見えてきたメリットとは? 

1. 現場製造の担当者以外でも、誰でも立ち会いが可能に 

新入社員研修や顧客向けの工場案内には、詳細の説明ができる現場の担当者が、毎回必ず立ち会いをしていたため、今まで現場担当者の業務負担は大きいものでした。それ以外にも人事や経営企画など、案件毎に関連する部署の担当者も立ち会いをするため、2~3名の社員が立ち会いをするなど、それぞれの日程調整のも一苦労。

temiの導入後は、temiが一定レベルの専門知識を含めた工場の作業工程の説明をするため、現場の担当者が必ず立ち会わなくても大丈夫に。また工場案内をする対象の知識に合わせて、説明を補足したい場合は、詳しい社員に立ち会ってもらうなど、臨機応変な運用が可能になりました。そこまで製造工程に詳しくない社員の場合、お客様の案内中に沈黙の間が発生してしまう時もありますが、temiはずっと声とBGMを流して案内してくれるので助かる、という現場の貴重な意見も聞けました。

どの部署の人でも工場案内の立会いができるように、temiに手作りの使い方説明書をぶら下げたり、充電中や調整中がわかるように看板をぶら下げるといった工夫が行われています。

 

2. 英語説明もtemiにお任せ!

今まで海外の取引先のお客様がいらっしゃったときは、詳しく説明できる現場担当者にだけではなく、英語が話せる社員も毎回立ち会う必要がありました。お客様が通訳の方を連れて来られることもありますが、中々スムーズに意思の疎通が伝わらないことが多々ありました。ですが今後はtemiが通訳担当として活躍します。

製薬会社は特に専門用語を多用しますが、それを含めて外国語へと通訳するのは一苦労です。全星薬品工業では、工場案内の英語原稿を作成してtemiに読み込ませることによって*、 日本語のみならず英語でもtemiによる工場案内を可能にしました。英語を流暢に話すことができるtemiの今後の活躍が期待されます。

*temiは他にも中国語(広東、台湾)や韓国語をはじめとした、多言語の読み上げに対応しています。

 

3. スタッフ稼働時間約70%削減、現場担当者の業務負担を軽減へ

今まで工場案内の際は、お客様1組に対して2〜3名の社員が立ち会いをしていました。主に現場担当者が入り、お客様の質問にも答えながら、長ければ1時間以上かかっていました。案内本番以外にも、その前の準備や片付け等を含めると毎回それぞれ2時間程度はかかっていました。
それがtemiを導入することで、temiと立ち会いする社員1名で事足りるようになったため、現場担当者の業務負担が著しく軽減されました。

見学ツアーの時間短縮効果も

「やっぱり(案内した)この同じ場所からなかなか動いてくれないっていうのが悩みでした。このロボットを使うともう、どんどん移動していくので、ついていかなきゃっていうところですよね。もう時間短縮の効果が大きいですね。人で案内していたときはどうすれば早くなるのかなということを常に考えていました」と語る、前田部長。テンポ良い案内が可能となったため、社員が1時間かけていた工場案内を今では30~40分程度に抑えることが可能になりました。

スタッフ稼働の削減効果は約70%減!?

現在のtemiの利用頻度まだ月に数回程度ですが、徐々に利用頻度も増えています。一般のお客様や中国・韓国からのお客様も今後は増える見込みで、コロナ禍前同様に、週に2回ほどの工場見学利用が想定されています。

以前は合計360分ほどかかっていた実施1回あたりのスタッフの稼働時間は、temi導入後は100分になり、導入前より約70%削減が出来ました。コロナ禍前との比較で、年間で見ると100時〜150時間ほどスタッフ稼働時間が削減が見込まれる等、temiの今後の活躍に期待が高まります。

 

先進的なことに取り組む企業としてPR効果も

「高校生や大学生向けの会社見学では、temiを見た学生の反応が非常にいいと聞いてます。製薬会社の職場見学に来れれる方は大体どの企業でも同じような光景が多い中で、インパクトを残して、学生に全星薬品工業っていう名前を覚えてもらうために、いいきっかけになったらいい」と、前田部長は企業PR面での効果も語ってくれました。

工場案内としてテレロボを導入するという、先進的な取り組みをされている全星薬品工業。今回はtemiの読み上げる台本として2,000文字、時間にして30~40分という長時間の工場案内の現場を取材しました。新しいロボットや改良された機能があればいつでも教えてください、と新しい技術の導入に意欲的な社員の皆さんの姿が印象的でした。

インタビューを受けてくださいました、全星薬品工業の前田部長・古賀参事 、ありがとうございました。

■ 全星薬品工業株式会社について:https://www.zenseiyakuhin.co.jp/
■ temiについて: https://ipresence.jp/temi/


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