つくった人が、テレポートで店にいる日。
小売店やショールームには、製品を「つくった人(作り手)」がいない。その事実が、購買の先にある深い関係——ロイヤルカスタマーの形成——をいくらか阻んでいる。テレプレゼンスロボットtemi・kubiを使えば、国内外どこにいる作家や職人も、週に数時間「在店」できる。作品を一緒に眺めながら交わす対話が、ファンをつくる。特別なソフトは不要、招待URLだけで接続できる。リアルな場の価値を、もう一度深いところから取り戻す提案を書きました。

※本画像は生成AIで作成しており、イラスト等に一部表現の誤りがありますが御了承ください。
リアルな店に、まだ使われていないものがある
ECで多くのことが完結するようになった。商品を調べ、比較し、レビューを読み、買う。その一連が、画面の中で済む。
それでも人は、店に行く。ショールームに足を運ぶ。実物を見たい、触れたい、という理由だけではなく、何かを「体験しに行く」感覚で。
では、リアルな店はその期待に応えられているだろうか。
製品は美しく並んでいる。照明は計算されている。スタッフは丁寧だ。買ってもらえている。でも、そこで関係が終わっている。ブランドへの深い共感や愛着まで育てられていない。「好きなブランド」ではなく「買ったことがあるブランド」のまま、お客は帰っていく。
リアルな店が活かせていないものがある。それは「つくった人」だ。
作家がいると、何かが変わる
ギャラリーや店舗でアート作品や工芸品を見ているとき、作家本人がそこにいたとしたら。
「この青は、どこから来たんですか」と聞ける。作家は少し顔をほころばせながら、旅先で見た海の話をする。何度も塗り直した話をする。その言葉を聞いた後、その作品への眼差しが変わる。価格も変わって見える。そして、その作家のことを、ずっと覚えている。
つくった人がそこにいるという事実が、空間全体の温度を変える。物に、文脈が宿る。ECのページには載らない何かが、その場に生まれる。
重要なのは、このとき「向き合って会話している」わけではないことだ。作品を一緒に見ながら、同じ方向を向きながら、話している。会話が自然に続く。これはアート作品や工芸品が持つ構造的な強みでもある。「見るべきもの」が目の前にある商材は、つくった人との対話が最もなめらかに成立する。
問題は、その体験がほとんど偶然にしか起きないことだ。作家が常に店頭にいることは現実的ではない。地理的な距離がある。日々の制作がある。だからその体験は、特別なイベントの日にしか、限られた場所にしか存在しない。
これは制約ではなく、まだ解かれていない問いだった。
実は、体制はもう整っている
ここで問いたいことがある。
あなたの店に関わるつくり手は、どこにいるだろうか。国内のアトリエ、地方の工房、あるいは海外のスタジオ。物理的には遠い。でも、オンラインでつながる手段はすでにある。
実は多くの店が、やろうと思えばできた状態にあった。開発者も作家も職人も、オンライン会議には慣れている。遠隔から店頭に参加する体制を整えようと思えば、あと一歩だった。ただ誰も、その発想で動いていなかっただけだ。
あるいは、固定されたデバイスでの遠隔参加はすでにやっていた。でも、それが「動き回れる」と知らなかった。
もう一つ、意外と知られていないことがある。temiへの接続に、専用のソフトウェアは必要ない。招待URLを発行するだけで、通常のテレビ会議と同じようにWebブラウザから誰のPCでも接続できる。作家が自分のアトリエから、職人が工房から、開発者がオフィスから。特別な準備なく、その日その時間に、店頭のtemiに入ってこられる。
週に数時間、テレポートで「在店」する
私たちが実現しようとしているのは、シンプルな発想だ。
毎週木曜の18時から20時、この作品の作家がテレポートで在店します。
temiまたはkubiが店頭に立つ。その画面と音声を通じて、国内外どこにいる作家も職人も設計者も、「その時間だけ」店舗やショールームに現れることができる。
来店客は知っている。今日はつくった人に会える日だと。
temiであれば店内を自ら動き回れる。作家が画面の向こうから「こちらの作品、一緒に見ませんか」と近づいていく。作品の前で、同じ方向を向きながら、話が始まる。海外のスタジオにいる作家が、地球の反対側の店舗に在店する。物理の壁が、もうそこにない。
時間が終われば、temiはiPresence-Agentとして通常の案内業務に戻る。翌週また、その時間に作り手が戻ってくる。
この仕掛けは、売れる理由をつくるというより、また来る理由をつくる。あの作家が来週もいる。次は別の作品について聞いてみたい。そういう関係が、ロイヤルカスタマーを育てる。
向いている商材・シーン
この体験が最もなめらかに成立するのは、「見るべきものが目の前にある」商材だ。
アート作品・工芸品はその筆頭だが、同じ構造を持つ商材は多い。じっくり検討される家具やプロダクトデザイン、素材そのものに物語がある建材やテキスタイル、生産者の顔が価値になる食品や農産物、開発背景が購買の決め手になる精密機器や工業製品。
共通しているのは、高関与でじっくり検討される商材であること、そしてつくり手が特定されていることだ。その場の会話のテンポで即決される販売スタイルよりも、時間をかけて関係を築いていく販売スタイルに向いている。
すでに、その体験は起きている
これは純粋な未来の話ではない。
iPresenceはこれまで、単発ではあるものの、類似の体験を実現してきた実績がある。展示会場でのテレプレゼンス参加、遠隔地の専門家が現場に「在場」するかたちでの説明対応——その場に人がいることで空間の温度が変わるという体験は、すでに確認されている。
テクノロジーは整っている。あとは、それを「作り手の在店」として設計し直す企画力と、踏み出す一歩だ。
つくった人が、テレポートで店にいる日。
フィジカルな店の価値は、「実物がある」ことではなく「人がいる」ことにあるのかもしれない。
ECには絶対に再現できない体験がある。作品の前に立ち、作った人と同じ方向を向きながら、その言葉を直接聞く。その体験が、買った人をファンにする。一度来た人を、また来させる。
テレポートという言葉は、SF的な響きを持つ。でも私たちが実現しようとしているのは、きわめて素朴な願いだ。
つくった人の声を、買う人に届ける。リアルな場の価値を、もう一度深いところから取り戻す。
つくった人が、テレポートで店にいる日。 それは、もう始まっている。
体験イメージ
体験イメージをマンガでご覧ください。
※画像は生成AIで作成しており、表現が正確ではない部分がありますが御了承ください。












