学校に通えないときも、テレロボ kubi で授業参加

大阪府立高校に通うKさんが、病気により突如入院生活を余儀なくされたのは、高校2年生の1学期のことでした。医療ソーシャルワーカー・学校・家族が本人と話し合い、自宅・病院から、学校の授業に遠隔参加することが決まりました。その後、約1年にもわたる遠隔学校生活を過ごし、周囲のサポートとご本人の努力により進級が決まりました。

全日制普通科高校の生徒が、遠隔学校生活参加で進級を果たすことができたその背景には、それを支えたテレプレゼンスアバターロボット   (通称:テレロボ ) kubi の存在がありました。遠隔操作・他者とのコミュニケーション・単位取得に貢献など、学校へのkubi導入のメリットをご紹介します。

 

関係者(家族・医療従事者・学校・教育庁)の連携で実現した、テレロボ学校生活参加

Kさんが全日制普通科高校で遠隔授業に参加できたのは、学校の協力のみならず高校を管轄する大阪府教育庁の理解があったことが後押しとなりました。国から遠隔授業参加を出席扱いとして良いという指針は出ているものの、その解釈は学校によって様々です。関係者がKさんの学校に行きたい、学びたいという気持ちを尊重しサポート体制を確立できたことが、約1年にわたる遠隔学校生活参加の支えとなりました。

遠隔地から学校の授業に参加するツールとして、kubiの導入が決まったこと、日々の授業や定期テストにも対応できるようサポート体制ができたことで、Kさんは入院・自宅療養期間中であっても、友人と共に学校での時間を過ごし、勉強を進めることができました。

 

クラスの授業に kubi が導入されて見えてきたメリットとは? 

1. 遠隔画面操作により、生徒の授業参加が円滑に 

Kさんが遠隔接続する際には自分のパソコンをkubiに繋げて、授業の映像をリアルタイムで見ていました。

kubiを教室の一番前の机の上に置いてもらって、黒板が画面に収まりきれていない部分は、Kさん自身のスマホを使ってkubiの遠隔操作を行い、映る画面の調整を行いました。一番前に置いてあるので、黒板の文字も端から端まではっきりと映り、先生の板書に合わせて見たい場所を見ることができます。

以前はiPadによる授業配信をしてもらっていましたが、画面が固定のため見えるところが限られていました。 kubiを利用することで、上下90°・左右300° 映る画面を遠隔操作で動かせるため、遠隔地からでも授業参加が円滑に進みました。

 

2. kubi によって「そこにいる」感覚に
〜クラスメートや先生とのコミュニケーション〜


授業参加ができるだけではなく、コミュニケーションの点でもkubiは活躍します。
学校の休み時間には、Kさんは kubi を通して近くにいた友人とお喋りをしていました。iPadによる授業配信の場合は学校側の発信ツールとして利用されていたため、双方向でお友達とワイワイガヤの時間を共有できることはkubiならではの使い方です。

移動教室の時は、kubi を友人に移動先へ運んでもらったり、体育の授業では、補助でついてくれた先生と一緒に画面越しに筋トレをしたり、遠隔地からでも先生や同級生とコミュニケーションを取る機会に恵まれました。

 

3. kubi での遠隔授業参加でも、単位認定が可能に*
*単位認定は、所属する学校によって判断が異なります。

クラスに出席している他の生徒と同様に、遠隔授業参加を出席扱いとするかに関しては、多くの学校で運用が異なります。  Kさんが在籍してた高校は、遠隔授業参加でも出席として認められることになりました。

約半年以上、Kさんは病院への入退院を繰り返ししていました。毎回約1週間入院し治療に専念して、その後約3週間は自宅で療養しながら、自宅からkubiを使った遠隔授業に参加。自宅療養中は、体力も気力も落ちている状態ではありましたが、辛い時はベッドで横になりながらkubiで授業に参加して、起き上がれる時は起き上がってノートに授業内容をメモして勉強をしていました。通っていた高校ではkubiで授業参加したり、テストを工夫して受けた結果、単位を一つも落とす事がなく無事新学年へと進級ができました。

 

入院生活を終えて考える将来について 

kubiを学校生活参加を通して利用する中で、将来はロボットに関わる仕事に就きたいという思いが強くなった、と語るKさん。iPresence合同会社に来社された際には、約1年間の療養生活についてお話を伺い、その後は様々なテレロボに触れ、自走式テレロボを体験してもらいました。ロボットと対峙する際の笑顔が印象的でした。

iPresence合同会社に来社した時のテレロボ体験の模様

 高校3年生へと無事進級を果たしたKさん。

ですが退院、復学は「ゴール」ではなく新たな「スタート」です。退院、そして復学という周囲の喜びとは裏腹に、Kさん本人は前と同じように生活できるだろうか」という不安も抱えていました。約1年に及ぶ kubi の使用期間はこれで終わりを迎えましたが、ご自身で考え、前に進まれるKさんをiPresenceは応援しつづけます。

■ kubiについてはこちら: https://ipresence.jp/kubi/