ハイブリッドイベントの概要(メリット・デメリット)と今後
新型コロナウイルスの影響により、オンラインでのイベント開催が広がりました。今、リアル開催に戻りつつありますが、オンラインを組み合わせた「ハイブリッドイベント」でのイベント開催が増えています。
遠隔コミュニケーションツールの技術が進化することを考えると、イベントはハイブリッド化していくと予想されます。
今回は、いま注目のハイブリッドイベントの概要や今後について語ってみたいと思います。
ハイブリッドイベントとは
ハイブリッドイベントとは、リアルとオンラインの両方を組み合わせて開催されるイベントのことを指します。一部の人々がイベント会場に直接参加し、その他の人々はインターネットを介しての参加が可能です。
Peatix Japan株式会社の調査によると、オンライン/ハイブリッドイベントの開催数は、新型コロナウイルスの影響もあり急激に増えています。
引用:2021年 Peatixイベント調査レポート
今後さらに、ハイブリッドイベントの開催数は増えるでしょう。
ハイブリッドイベントの特徴
ハイブリッドイベントの特徴は、場所を問わずに参加できるということです。参加者は会場に来ることもできますし、リモートでの参加も可能です。このように、参加者はイベントを見逃すことなく、自分の好きな方法で参加できます。
これにより、参加者が遠隔地にいる場合でもイベントに参加できるため、より広い参加者層を対象にすることができます。また、会場での開催よりも低コストで開催することができるため、経済的なメリットもあるのです。
ハイブリッド開催が採用されているイベント
ハイブリッドでの開催は、いくつかのイベントで採用されています。代表的なものを以下の表にまとめました。
カンファレンス/セミナー | スピーカーやパネルディスカッションなどが行われ、参加者はそれらをオンラインで視聴できます。 |
展示会/フェア | 会場に来ることもできますし、オンラインでの閲覧もできるようになっています。 |
ワークショップ | 参加者はオンラインでのプレゼンテーションや講義を視聴できます。 |
パーティー | 参加者はオンラインでのライブストリーミングを視聴できます。 |
ハイブリッドイベントのメリット・デメリット
ここでは、ハイブリッドイベント開催のメリット・デメリットをご紹介します。一見メリットばかりに見えますが、実はデメリットもあるのです。
ハイブリッドイベントのメリット
まずハイブリッドイベントのメリットをご紹介します。
離れた場所から参加できる
オンラインとオフラインの両方で開催されるため、地理的に離れた場所にいる人々がイベントに参加できるようになります。
これにより、イベントを開催する地域の制限がなくなり、より多くの人々が参加することができます。
運営コストを削減できる
インターネットを介して参加することができるため、イベント開催費用を削減できます。たとえば、参加者が来る必要のある会場や招待客の交通費や宿泊費を節約できます。
コミュニケーションを取りやすい
インターネットを介して参加することで、対話形式の参加体験を提供できます。たとえば、オンラインでのチャットやクイズ、アンケートなどができるようになります。
アーカイブを残せる
オンラインでのライブストリーミングや録画ができるため、イベントを振り返ることができます。
これにより、欠席した人や再度聞きたい人が、後からアーカイブにアクセスでき、イベント内容を確認できます。
ハイブリッドイベントのデメリット
続いて、デメリットを見ていきましょう。
通信環境に左右される
ハイブリッドイベントでは、インターネットを介しての参加が必須です。そのため、インターネット接続の状態によっては、参加者が望む体験を得ることができない場合があるのです。
たとえば、インターネット接続が不安定だと、ライブストリーミングがカクカクしたり、音声が途切れることがあります。
特別なツールやアプリケーションが必要になる
オンラインでの交流を実施することもできますが、これを行うには特別なツールやアプリケーション。また、参加者がこれらのツールやアプリケーションを持っているか、ダウンロードできるかを確認する必要があります。
技術的なスキルが必要になる
開催には、技術的なスキルが必要になることがあります。たとえば、オンラインでのライブストリーミングや録画を行うためには、ビデオカメラやマイク、ライブ配信のプラットフォームを使用するための知識が必要になります。
また、オンライン上での交流を実施する場合には、コミュニケーションツールを使用するための知識が必要になります。ハイブリッドイベントを開催するためには、これらの技術的なスキルを習得する必要があります。
テレコミュニケーションツールの進化により実現
ハイブリッドイベントは、テレコミュニケーションツールの進化により実現されました。インターネットの普及や技術の進歩により、さまざまな形でのコミュニケーションが可能となったのです。
テレワークやリモートワークが普及し、距離を超えたコミュニケーションが重視されるようになりました。これらを実現させるWeb会議ツールやチャットツール、テレプレゼンスロボットなどの普及には、イノベーションとともに発展してきた背景があります。
次の章では、これらかのハイブリッドイベントに活用されるであろう新たなデジタル技術を紹介していきます。
これからのハイブリッドイベント
これからのハイブリッドイベントは、リアル空間はロボットアバターで交流したり、バーチャル空間はデジタルアバターで交流したり、といったリアル空間とバーチャル空間を自由に往来する形式になっていくと考えています。
これらを実現する、いま注目されているデジタル技術を紹介します。
バーチャル展示会
バーチャル展示会とは、インターネットを介して開催される展示会のことです。対面での展示会や商談会に比べて、参加者や出展者が自宅やオフィスから参加できるという利点があります。
一般的に、バーチャル展示会はパソコンやスマートフォンを使用して閲覧できるWebサイトやアプリを通じておこないます。参加者は、会場を模擬した3D空間を通じて展示物やブースを見学したり、出展者とのビデオ会議やチャットを通じて商談をおこなうのです。
またバーチャル展示会では、リアルタイムでの開催だけでなく、録画やアーカイブを残すことで、参加者が自分のスケジュールに合わせて展示会を閲覧することもできます。
オンライン交流
オンライン交流とは、インターネットを介して行われるコミュニケーションや交流のことを指します。
オンライン交流には、様々な方法があります。
・メールやチャットツールを使ったテキストメッセージのやり取り
・Web会議ツールを使った顔を合わせた会議やプレゼンテーション
・SNSを使った意見交換や情報共有
場所や時間を問わず、世界中の人々と簡単にコミュニケーションを取ることができるため、ビジネスや学業、個人的な交流など、幅広い場面で活用されています。
デジタルツイン
デジタルツイン(DigitalTwin)とは、リアルな空間をデジタル上にコピーした現実と双子の関係性になる概念。あたかもそこに居ると感じられるセミリアルな世界をデジタル空間上に再現します。
たとえば過去の保存や情報共有、状況把握のためにリアルタイムセンシングと組み合わせて、未来を予測するためにシミュレーションツールとしての活用が進められているのです。
メタバース
メタバース(metaverse)とは、仮想空間を指します。インターネット上に3次元の仮想空間を構築し、ユーザーはアバターを操作することでコミュニケーションや活動ができるようにするものです。
人間がリアルタイムで仮想空間を操作して、仮想的な世界で活動できるため、ゲームやエンターテインメント、ビジネスなど、幅広い分野で活用されています。
テレプレゼンスアバターロボット
テレプレゼンスアバターロボット(Telepresence avatar robot)とは、テレビ会議+ロボット+遠隔操作技術を組み合わせたロボットです。 遠隔操作とロボット技術を組み合わせることで、自分の今いる場所から遠く離れた所に存在(プレゼンス)させることができます。
スマートフォンやタブレットなどのディスプレイが頭部分についており、このディスプレイを使用することにより、テレビ会議と遠隔操作による移動が可能です。使用者は、スマートフォンやタブレット、PCなどでビデオ会議を行いながら、相手側にいるロボットを遠隔でコントロール。これにより、自分が主体となり、誰とコミュニケーションを取るか、どこへ移動するかを自由に決めることができます。
まとめ
ハイブリッドイベントの概要と今後活用されるデジタル技術について紹介しました。まだまだ発展途中であり、導入している企業は少ないですが、注目されている取り組みではあります。
リアルとオンラインの特徴をうまく活かすことで、イベントの効果を何倍にも高められます。まだハイブリッドイベントを開催されたことのない方は、検討してみてはいかがでしょうか。