テレロボ temi 病院事例| (財)第二川崎幸クリニック| 外来 / 案内業務におけるロボットの活用共同研究を開始 – 医療現場の人手不足解消を目指して
社会医療法人財団石心会第二川崎幸クリニック(以下第二川崎幸クリニック)と iPresence 合同会社 (以下iPresence)は、 外来業務におけるロボットの活用に関する共同研究を2023年9月1日より開始しました。テレプレゼンスアバターロボットtemiを活用して、 外来診療をはじめとした、 医療施設における医療従事者の業務サポートや業務改善をすることが目的として、医療施設普及モデルの開発を長期で行っています。
第二川崎幸クリニックでは、共同研究を始めて以来temiの院内活用に日々取り組み、出来ることが徐々に増えてきたとのことです。第二川崎幸クリニックの関川院長と佐々木事務長に、temi導入時の話とこれからの未来について、お話を伺いました。
人口減少社会を見据えて、ロボットとのワークシェアリングを目指して
ワークシェアリングを実現するために、ITとロボット活用の構想
(関川院長) 私は管理職として普段から時代を先読みする、ということを大切にしています。今後の医療について時代を先読みをした場合、私たちの川崎だけではなく、日本全体で人口減少がある。そうすると労働力の減少も来るだろうと思っています。
(関川院長) 私たちの病院ですでに行なっていることとしては、ワークシェアリング*です。いわゆる医師の役割を事務員(メディカルクラーク)などが、医師に代わることをやったりしていますが、それでは追いつかない時がやってきます。その時にはロボットを活用しないといけないだろう、と常日頃から思っていました。すでにITをいかに効率的に医療に役立たせるか、活用するか、などを心に日頃から注力していますが、そんな時に第31回日本医学会総会に出展されていた、iPresenceさんのテレプレゼンスアバターロボット temiと出会いました。
*一人で担当していた仕事を複数人で分けて、一人にかかる負担を減らすこと。
アバターロボットtemiを調べるうちに、病院の業務に活用できるかもという想いに
(関川院長) 会場内で声を出しながら動いているtemiを目にして、これはなんだろうとiPresenceさんに声をかけました。普段から労働力の減少について考えていましたから、temiを見てその時点では何かができそうだという風にしか思えていませんでした。
(関川院長) 会場内ではtemiは僕にくっついて歩いてきて*、まるで顔を見上げているような仕草を感じました。そのシーンが、普段病院に患者さんがいらっしゃった際に、忙しく働いているスタッフ達の代わりに、患者さんに対応してくれるイメージが思い浮かび、このロボットが何かの代替にできるかもしれないという程度でした。
ですが病院に戻ってから、事務長と話しをしながらtemiについて調べて話していく中で、様々な可能性を感じて、これは1回レクチャーしてもらおうということになりました。
temi 導入に対して、第二川崎幸病院が大切にした3つのポイント
(1) トライアンドエラーをしながら、temi の活用範囲を広げる
(関川院長) 私は普段からスタッフと、朝礼で話をします。今回も医学総会でtemiとの出会いがあって、これからの医療分野も応用していかないといけないよね、ということを話題にしたらスタッフが共感してくれました。それにはトライアンドエラー、いわゆる一歩前進しては一歩後退しながら、2歩前進して1歩後退しつつちょっとちょっとずつやってればいい。
また、大きな意味で医療界の先駆者的なパイオニア的なことであるので、しっかり考えていこうということも話しして理解してもらいました。
(2) iPresenceとの定期ミーティングで、スタッフの意見がより具体的に
(関川院長) まずは誰も知らない私達も経験したことない世界なので、安全を大事にしようということで、どこに置くかということから始まりました。現在は、目的がしっかりしてる内視鏡室から待合室までのラインとかそういう限定したものだったんですけども徐々に、患者さんが多いところのエリアに配置していこうと思っています。2階の人が多い外来ブースで、今の業務体系の中で手伝ってもらえるようにしたいですね。
(佐々木事務長) 将来的には、今やってる業務の一部を担ってくれると、数字上の成果が出てくると思います。(iPresenceとの)会議には、毎回出ていますが、回を重ねるたびに当初に比べ、スタッフ皆、具体的立案をするようになったと感じており、すごく良いことと思っています。
(3) 直近の導入コストは、“スタッフの教育”と捉えて、組織に変化を
(佐々木事務長) 新しいことに取り組むには、時間を取られていくだろうなと想像しています。ですが、教育という観点では、職員がこのような取り組みに慣れていくことが大事だと思っています。変化をしようとしているときに、一人でも違う方向では困ります。
今回の取り組みがその1つで、最初はどのように進めるべきか分からないままスタートしていますが、(iPresenceとの定期ミーティングで)スタッフの意見も、方向性もあってきてると思います。
医療界に対してのロールモデルを目指して、ロボットを活用した共同研究を
「自分たちの病院の課題解決のためでもありつつ、次の世代の医療に従事する従事する人たちのためにもロボット活用は、やっていかなきゃいけない」と語る、関川院長。そしてその想いに、そして佐々木事務長や院内のチーム全体が共感し、現在では少しずつtemiでできることが増えてきています。また佐々木事務長は、「今やってる業務の一部を担ってくれると、(費用対効果等の)数字がしっかり成果が出てくるでし、iPresenceと共に現場の誰でも活用できるように、ワンタッチで出来る機能を更に増やしていきたい」と将来を期待しています。
iPresenceとの関係について「現場のリクエストに答えてもらい関係は非常に良好で、やはりお互いに新しいところに踏み込んでいけるようにやればいいですし、後はその情報はお互いに共有したいなというところで、後ろ向きな意見ではなくて前向きですごくいいなと思う」と佐々木事務長からコメント頂きました。関川院長、佐々木事務長、インタビューのお時間ありがとうございました!社会医療法人財団石心会第二川崎幸クリニックと iPresence は、外来業務におけるロボットの活用に関する共同研究を引き続き行って参ります。
取材先:(社会医療法人財団石心会第二川崎幸クリニック) https://saiwaicl-2.jp/